加熱式タバコにはまってしまったことで禁煙することの意義を見失ってしまって僕は、しばらく加熱式タバコを吸い続けてしまいました。
ただそのことによって僕の喫煙本数が減ったことも事実です。
敢えて言葉にするなら「いつか禁煙を目指すステップとしての、ゆるやかな減煙」といったところでしょうか。あくまでも個人的な感想ですが・・・。
さて禁煙にまつわる経験談を語る全三回の記事ですが、今回で最後となります。
僕と同じように禁煙している方、これから禁煙しようと思っている方、そしてそれを支えようとしている周囲の方に向けて、お役に立てる内容になれば幸いです。
一番の処方は、禁煙に対しての意志を明確にもつこと!
「結婚式を挙げようか」
いつものように加熱式タバコをくわえる僕に妻はそう提案しました。
2015年末にばたばたと籍だけ入れた僕たち夫婦は結婚式をしていませんでした。仕事が落ち着いた今なら確かに何の問題もありません。
早速、僕たちは近親者のみで行う結婚式の段取りを始めました。2018年10月のころでした。
式場を決めると、数回にわたって神社のブライダル担当者との打合せをこなし、準備は滞りなく進んでいきました。
神前式のリハーサルも含めた衣装合わせの日は、僕たち以外にもたくさんのカップルが訪れており、僕は少しだけ気後れしていました。なぜなら僕のように高齢な新郎は一人もいなかったからです。
妻との年齢差も大きく、僕だけが浮いていました。
それなのに神前式リハーサルの新郎新婦役として声をかけられたのは僕たち夫婦でした。もちろん断ることは出来たのですが、妻は二つ返事で了承してしまいます。
「これだけたくさんの人たちの中から私たちに声をかけてくれたんだから。やろうよ。一生に一度だよ」
断れば良いのに。
僕は内心そう思いましたが「一生に一度」と言った妻の満面の笑顔に何も言い返すことが出来ませんでした。
覚悟を決めて僕はリハーサルに臨みました。
参進の儀(本殿に向かう儀式)から始まり厳かな空気の中、リハーサルの神前式は進んでいき、やがて「誓詞奏上(せいしそうじょう)」という夫婦の誓いの言葉を読み上げる儀式にさしかかりました。
その中にある一文で「苦楽をともにして終生かわらぬことをお誓いします」という文言を妻と声を揃えて読み上げたとき、式が本番でないにも関わらず胸に来るものがありました。
「わたしより長生きしてね」
籍を入れたとき妻が言った言葉を僕は思い出し、重ねていたのです。
ここに居る誰よりも年齢の高い僕だけど、妻は僕とずっと一緒にいることを信じている。
絶対に長生きしなければ。
僕の禁煙に対する気持ちに再び火が灯りました。
結婚神前式まであと二ヶ月。なんとしてもそれまでに禁煙を成功させたいと思いました。
その日の帰り僕は加熱式タバコ機を人に譲るために喫煙仲間に電話をしました。
事情を話すと、彼は加熱式タバコ機の二台目を欲しがっていたこともあり喜んでもらってくれました。
《禁煙するための強い動機付けが必要》
何のために禁煙するのか?禁煙すればどんな良いことがあるのか?など禁煙するためには、強い動機付けが必要だと言います。
例えば僕の場合は「長生きしたい」という気持ちだったり、家族のためにこれからも健康でいたいという気持ちですね。
そして健康でいることで、どんな良いことがあるのかを想像しました。
例えば歳を取っても自分が旅行で楽しく過ごしている姿や、好きな人と食卓を囲んでいる姿などです。
そうやって具体的に想像することで禁煙に対しての意欲が湧いたように思えます。
禁煙補助薬で効果的な禁煙を!その効き目と副作用
加熱式タバコ機を譲ったその足で薬局に行った僕は、禁煙補助薬を購入しすぐに口に放り込みました。
テレビCMで有名になった、あの「ニコレット」です。
ガム状のタブレットを噛むことでタバコを吸いたい気持ちを抑えるものですが、一日に吸っていたタバコの量によって、服用するニコレットの回数も異なります。
僕の場合はその頃のタバコ量は一箱以下だったので、4~6回(1回につき一個)、一日に服用する必要がありました。
ベーシックタイプを買ったのですが、ピリピリして甘くない。
ニコチンの味を感じたい人には向いているかもしれなかったのですが「ガムは甘いもの」という先入観を持ち続けている僕には合わず、すぐにクールミント味を買い直しました。
クールミント味は普通のミント味のガムのように甘くてスースーする感じ。
多少のピリピリ感はあるものの、これなら続けていけると思いました。
それからは仕事中に喫煙したくなった時に、ニコレットを噛むようになりました。
噛み始めるとさっきまでタバコを吸いたい気持ちがスーっと治まっていき、その効果を実感しました。
ただ困ったのは飲みの席です。
食事中にガムを噛むわけにもいかず、他人がタバコを吸っている場でもあるので、自分も喫煙したくてたまらない気持ちになってしまいます。
結局長く付き合うことが出来ず用事があるからと自分だけ早めに帰宅したことがありました。
そんな経験もあり、試してみたのが禁煙パッチです。
あらかじめ身体の一部に貼っておくことで一日、喫煙したい欲求を抑えるものです。
僕が買ったものは「ニコチネルパッチ」という普通に薬局で買えるものでした。
ニコチン依存度に合わせてパッチ10と20という二種類があり、僕は依存度の低いパッチ10を買いました。
飲み会当日、効果が切れたら困ると思いニコチネルパッチを貼るタイミングを遅らせてお昼過ぎにお腹に貼ったのですが、これがよく効き飲食中、タバコを吸っている人が近くに居ても我慢することが出来ました。
もちろん吸いたくなったことは確かですが、その場に居られないというほどではなく、最後まで飲み会の席に座っていられたことに驚きました。
そんなふうにしてニコレットとニコチネルパッチの併用によって一ヶ月ほど、タバコを吸わずに過ごすことができたのですが、ニコレットに関しては思わぬ副作用がありました。
ニコレットを切らしてしまうと今度はニコレット無しでの生活が厳しくなって来るのです。
これはタバコの代用品としてニコチンを含んでいるニコレットやニコネルのような禁煙補助薬の特徴としてよくあることで、今度は禁煙補助薬の依存症にならないように注意する必要があったのです。
《禁煙補助薬のニコレットの仕組みと効果》
ニコレットなどのいわゆるニコチンガムによる禁煙治療は「ニコチン置換療法」と呼ばれています。
ニコチン不足から生じる「タバコを吸いたい」という欲求をニコチンを含んだガム、ニコレットを噛むことで抑えながら、徐々にニコチン量を減らしていく方法です。
一日のガムを噛む回数によってニコチン摂取量をコントロールすることで、身体的なニコチン依存からの離脱をサポートしてくれます。
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《禁煙補助薬のニコチネルパッチの仕組みと効果》
ニコチネルパッチもニコチンガムと同じく「ニコチン置換療法」の一つです。
ニコチンを含んだニコチネルパッチを身体に貼ることで、ニコチン分子を皮膚の毛細血管から少しづつ吸収し「タバコを吸いたい」という欲求をコントロールします。
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《禁煙補助薬の副作用》
禁煙補助薬による治療はあくまで「ニコチン置換療法」でありニコチンが嫌いになるわけではありません。
そのためタバコへの依存が禁煙補助薬への依存に移行してしまう場合もあるため注意が必要です。
禁煙出来た後は、徐々に禁煙補助薬自体の量も減らすなどして完全にニコチンへの依存がなくなるまで油断しないようにしましょう。
例えばニコレットなどのニコチンガムは、禁煙後はニコレットから普通のガムに徐々に移行するなどニコレット自体をやめられるように工夫しましょう。
禁煙補助薬の副作用を超えて、完全禁煙に成功!禁煙したら人生変わった!
ニコレットの副作用は2週間ほど続きしばらくはニコレットを口にしたくなる欲求に駆られましたが、普通のガムや飴を食べるなどしてやり過ごしているうちに自然とニコレットから離れられるようになりました。
気づけば結婚式はすぐそこに迫っていましたが、僕は初めて禁煙に成功した手応えを感じていました。
結婚式は禁煙補助薬の力を借りずに行うことができ、僕はようやく妻に禁煙に成功したことを告げることができました。
それ以来、タバコと名の付くものを口にしたことはありません。
もちろん、この記事を書いている現在もそれは継続中です。
そして記事タイトルにある「禁煙したら人生変わった!」こととは何なのかは以下の通りです!
✔生活の中で息切れすることが少なくなった!
日常的に喉にタンが絡まなくなり、駅の階段の上り下りや、坂を歩く程度では息切れすることは無くなりました。おかげでスポーツジム通いも楽しくなりました。
✔風邪をひかなくなった!
これまで月に一度くらいのペースで風邪をひいていましたが、禁煙してからは一度も風邪をひいていません。健康ってすばらしい。
✔喫煙にかかっていたお金を貯めて大好きな旅行に行けた!
ヘビースモーカーだったときにかかっていたお金は年間なんと345,600円(480円×2箱×30日×12ヶ月)。義妹家族も誘って旅行に行くことが出来ました。
✔大切な人たちとの距離が縮まった!
喫煙者だったころは、タバコの匂いや喫煙時の煙を吸わせまいと妻はもちろん、義妹家族やその娘(姪っ子)にも気を遣っていましたが、今は気兼ねなく姪っ子とハグもできます。
✔イライラしなくなった!
ニコチンを欲しがらない身体になったことで、些細なことで腹を立てたり、イライラすることが無くなりました。妻からも穏やかになったと言われます。
どうでしょう?これだけ良いことがあれば、人生変わった!と言っても良いのではないでしょうか。
他にも「息が臭くなくなった」とか「非喫煙者の気持ちが分かるようになった」とか挙げればまだまだあります。
ただ、これはあくまで僕にとっての「禁煙によって得られたこと」ですので、皆さんも是非、自分だけの禁煙によって得られる幸せを目標に、禁煙にチャレンジしてみて下さい。
まとめ
「ヘビースモーカーだった僕が禁煙したら人生変わった!その③禁煙補助薬」いかがでしたか?
全三回で、最終回となるこの記事では僕の体験と禁煙補助薬について紹介しました。
喫煙者だった僕にとって二度とタバコを吸わなくなった現在も、もしまた喫煙してしまったら、ただの禁煙期間となってしまい、喫煙者に逆戻りです。
そうならないようにこれからも非喫煙者である生活を守っていこうと思います。
この記事が禁煙しようとする人、それを支えようとする人のお役に少しでも立てればと願ってやみません。